「第76期名人戦」第一局 佐藤天彦名人 VS 羽生善治竜王

書きたい書きたいと思いながら一週間が立ってしまいましたが、
明日の第二局の前にどうしても書いておきたいと思いまして書き始めます。
残念ながらリアルタイムで見ることが出来なかったのですが、
夜中の小田急線で、棋譜を見ながら1人興奮しておりました。

昇る落日

まずは、前提から。
名人戦というのは現在7つある将棋界におけるタイトルの中でも
最高権威のタイトルで、現在NO.1の棋士と言えば
「名人のタイトル保持者」と言って差し支えないくらい重要なタイトルとなります。

その理由はいくつかありますが、
やはりそのタイトル戦の仕組みによるところが大きいと思います。

現在のプロ棋士には順位戦と呼ばれるリーグがあり、
実力順に上からA級(10名)・B級1組(13名)・B級2組・C級1組・C級2組
となっています。

名人に挑戦するには、その中のA級リーグの1位にならなくてはいけません。
今年のリーグ戦は超熱戦で、10人中6人が6勝4敗で並び、
6名でのプレーオフの末、羽生竜王が名人への挑戦権を獲得しました。

これは名人戦に向けて先崎学九段によって書かれた文章を映像化した
プロモーションビデオなのですが、これだけで感極まってしまいます。

羽生さんは一昨年に佐藤天彦名人に敗れ、名人の座を降りることとなりました。
その後タイトルを立て続けに失いましたが、先日竜王の座を奪い返し、
永世七冠の偉業を達成しました。

藤井聡太六段をはじめ、多くの若手棋士が台頭してきて、
「羽生の時代は終わった」と言われる中での竜王復帰は、
まさに沈むと思われていた太陽がまた昇る「昇る落日」そのものだったと言えます。

昇る落日全文

序盤からノーガードでの殴り合い

全棋士が夢見る将棋界最高峰のタイトル、名人戦の第一局。
誰もが慎重な立ち上がりを見せると思っていましたが、
先手の羽生竜王が、佐藤天彦名人の得意先方、横歩取りを選択。
通常は受けに回るだろう場面でも、お互い一歩も引かず踏み込みあい、
お互いの真剣がのど元に迫っている状態で、しのぎあう将棋が続きます。

名人戦は2日にかけて行われるのですが、
初日に終局まで言ってしまうのではないかと話題になるくらい、
序盤から怒涛の攻め合いが展開されていきます。

しかし、中盤から終盤にかけて羽生竜王の

・47手目 3八玉
・63手目 4八銀
・87手目 5一金

など、観衆や控え室の棋士から驚きの声があがる手を次々と繰り出し、
97手で羽生竜王が勝利。通算1400勝を達成しました。

人間同士が見せる将棋が起こす感動

私も将棋を学びだして1年少ししか経っていませんが、
上級者でも今回の将棋の序盤はとても考えられない手すじだったと言われています。
あるいは、AIが打ったのであれば納得できる部分もあるのでしょうが、
将棋の最高峰の名人戦の第一局で、こういった将棋が展開されたことに非常に感動しました。

お互いがどういった道を辿り、今日この場に対峙しているか、
そういった文脈を踏まえてこそ、この一局の価値が本当に出てくるのではないでしょうか。

明けて19日、いよいよ名人戦の第二局が始まります。
第一局を超える名局となるのでしょうか。

とても楽しみです。

この記事を書いた人

mako110

原宿でWEBディレクターをやっています。
WEB業界に携わって約15年。独立して7年目です。
自分らしく、働きやすく、周りの人の役に立つ。
そんな仕事をゆるゆるとやっています。