AIが書いた文章を、そのまま送られるとモヤっとする。

最近、仕事のやり取りの中でよく出る話題があります。
「メールの文面、AIに書いてもらったんですよ」
「提案資料の骨子、ChatGPTで作りました」

もちろん私も日々の業務でAIツールを活用しています。
使わないともったいない、というくらい便利になってきました。

ただ、一つ大事なことを忘れてはいけないと感じています。
AIが書いた文章を、そのまま送られると、人は結構モヤっとする。

なぜモヤっとするのか

「AIは嘘をつくから信用できない」という話をよく聞きます。
確かに以前はそういう問題(ハルシネーション)が多くありました。

ただ、最新のAIはファクトチェックも進化していて、文脈も読んで回答するようになっています。
内容の正確性でいえば、おそらく8〜9割は問題ないレベルに来ている、というのが正直な印象です。

では、なぜそのまま送ってはいけないのか?
答えは「精度」ではなく、「誰が読むか」にあります。

たとえば、税理士さんや社労士さん、
あるいは業界歴20年のベテランバイヤーさんに向けて、
AIが書いた文章をそのまま送ったとします。

読んだ瞬間、相手はわかります。
「あ、これAIだな」と。

文章の構造、語彙の選び方、微妙な言い回しのクセ。
今のAIには一定のパターンがあって、
それを日々文章に接している人間にはすぐ見抜かれてしまうと思います。

その瞬間、相手の頭の中で何が起きているか。
「この人、私に対してAIに任せたんだ」という感覚です。

これは、礼を欠いているとか失礼だとかいう話だけではありません。
相手の知識や経験、そこから来る自尊心を、無意識に軽く扱ってしまっているということです。

長年その分野を生きてきた人に、AI生成のテキストをそのまま渡す。
それは「あなたの知見より、機械の文章で十分です」と言っているのと同じように受け取られかねません。

さらに気をつけたいのが、
「AIがこう言っていたんですが」
「AIではこうやれば出来ると言っています」
「AIで作ったこれを参考にしてください」
という伝え方です。

これは文章の作り方の問題ではなく、
コミュニケーションの構造そのものが問題になります。

その道のプロに向かって、「機械がそう言っている」を根拠に話を進める。
相手からすれば、「私の経験や判断より、AIの回答を信じているんだな」と感じるかもしれません。
プライドを傷つけてしまうだけでなく、信頼関係そのものに影響しかねないと思っています。

AIを使って情報を集めたり、考えを整理したりすること自体は問題ありません。
ただ、それを専門家との対話の「根拠」として前面に出すのは、今のところ避けたほうがいいかなと感じています。

誤解してほしくないのですが、AIで下書きを作ること自体は何も問題ありません。
むしろ積極的に使うべきだと思っています。

情報の整理、構成の検討、たたき台の作成。
こういった作業をAIに任せることで、時間を大幅に節約できます。

問題は、その先です。
AIが出力したものを「最終成果物」として扱ってしまうこと。
特に、人と人とのコミュニケーションにおいては、そこから一手間が必要です。

やることはシンプルです。

  • 自分の言葉で読み直し、書き直す ー AIの文章をベースに、自分のトーンや口癖に近づける。「そういえば先日〜」「正直に言うと〜」といった、自分らしい表現を足す。
  • 相手の立場・知識レベルに合わせた表現に調整する ー AIは「一般的に正しい文章」を書きます。でも、目の前の相手に合わせた言葉は、自分にしか選べません。
  • 感情や背景を一言加える ー 「先日のお話を聞いて、気になっていたんですが…」「個人的には少し心配していて…」こういうひとことが、文章を人間のものにします。

AIの出力は「素材」です。
最終的に相手に届ける「料理」は、自分の手でしあげる。
そのひと手間が、信頼につながるのではないかと思っています。

これは送る側だけの話ではありません。
私自身、仕事の中でAIが作った資料やデータを受け取ることがあります。

きれいにまとまっている。情報も正確。でも…何かが足りない。
読み終わった後に、ふと思うことがあります。
**「自分は今、誰と仕事をしているんだろう」**と。

相手の考え方が見えない。判断の背景がわからない。
どこに重きを置いて、何を一番伝えたかったのか。
そういうものが、AIが整えた文章からはなかなか伝わってこないんです。

大切なのは、「自分の考え」が入っているかどうか

AIをどう使うかは、正直それぞれの判断でいいと思っています。
ただ、一つだけ意識してほしいことがあります。

自分の考えや感性が、ちゃんとそこに入っているかどうか。
相手に何を伝えようとしているかの、真摯さがあるかどうか。

それがあれば、AIを使って書いた文章でも、相手には届くと思います。
逆にそれがなければ、どれだけ丁寧な言葉を並べても、なかなか伝わらないのではないでしょうか。

今起きているAIへの違和感や軋轢は、新しい技術が浸透していく過程での副産物だと思っています。
自動車が普及したとき、電話が当たり前になったとき、きっと似たような摩擦があった。
そのうち誰も何も感じなくなる日が来るかもしれません。

でも今はまだ、人から人へ届けるものに、自分の手と頭と心をちゃんと通すことが大事だと思います。

それではまた。

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この記事を書いた人

mako110

原宿でWEBディレクターをやっています。
WEB業界に携わって約15年。独立して7年目です。
自分らしく、働きやすく、周りの人の役に立つ。
そんな仕事をゆるゆるとやっています。